はやてさんの苦悩

「そんならや。試しに付き合ってみたらええやん」

　もしかするとキッカケはそんな冗談みたいな一言だった……のかもしれない。
　今にして思えばあれは失言だったんやなぁ。彼女の一途な性格を思えば、あれは十分すぎるキッカケやもん。
　あ、それはお相手も同じか。

　あの頃の自分に「このどアホ！」言うてやりたいわ。ホント…………。

　あれから二人は二人っきりで過ごす時間が増えて。私も自然に遠慮する事が多くなった。
　良い人なんて違う。……ただ悔しいだけなんや。彼女を盗られたことが。彼女の恋してる顔を見るのが。
　目の前で食べさせ合いっこなんかされてみぃ。素直に見守るなんてできへん。絶対、ツッコミ入れてまうから。「はぁ、なんや今日のお弁当、どれ食べても甘いわ。なんでや〜〜？」とかな。

　…………いや、ホントに甘かったんは自分や。
　盗られたなんてウソ。そもそも盗った盗られたなんて関係でも無かったし。
　あの時の関係を壊すのが怖かったから。
　だから…………。

　あぁもう！ 止めや止め！ こんなん考えとっても悔しくなるだけやんか！
　今夜もやけオナニーして早よ寝よ。
　妄想ん中ならタップリ弄れるし。上も下も前も後ろも、穴という穴全部攻めたるでーー……。

　なぁ、ちょっとだけでも良いから気付いてぇな。一人ぼっちは寂しいで……。